屈折検査
まず、オートレフラクトメーターを用い他覚的に屈折の検査を行います。 ある程度の屈折の度合いが分かりましたら、検眼で眼の近視、遠視、乱視の度合いを自覚的に検査していきます。 屈折検査により視力が出づらい場合には、眼精疲労の可能性がありますので、ワック5000を用い筋肉の緊張をほぐす治療を行うこともあります。
正常眼
眼は近くのものを見ようとするときは、屈折力が大きくなるよう水晶体の厚みが増加し、遠くはその逆の状態になります。私たちの目はこのような調節を自動で行っており、調節をしていない状態で網膜にうまく焦点を結べるような眼を正視眼と呼びます。
屈折異常
近視眼
調節をしていない状態で、光が網膜より前に焦点を結んでしまう状態です。遠くのものを見たときはぼんやりしていますが、近くにあるものに対しては焦点を合わせてみることができます。角膜や水晶体の屈折力が強すぎるために起こる近視と、眼球の長さが伸びてしまうために起こる近視とがあります。凹レンズを用いて矯正します。
遠視眼
調節をしていない状態で光が網膜より後ろで焦点を結んでしまう状態です。遠くのものも近くのものもはっきりと見ることができません。角膜や水晶体の屈折力が弱いために起こる遠視と、眼球の長さが短いために起こる遠視とがあります。小さいお子さんの遠視では、調節を最大限に働かせて焦点を網膜に近づけようとすることを無意識のうちに行っている場合があります。凸レンズを用いて矯正します。
偽近視
俗に「仮性近視」と呼ばれるもので、何らかの原因で調節が過度に働いたままの状態になってしまっているものです。正視、遠視、近視のいずれでも起こり得ます。正視の人では近視に、近視の人ではより近視が強く、遠視の人では遠視が軽くなったようになりますが、いずれも見かけ上のものです。調節を一時的に麻痺させることのできる目薬をさした後に特徴的な屈折の変動を示すことで診断することが可能です。
乱視
乱視の原因は主に角膜と水晶体の歪みによるものです。人間の目は大なり小なり歪みがあるのが普通で、そうなると角膜や水晶体を通過する光の屈折が光の入ってくる方向によって均一でなくなります。多くの乱視は、近視や遠視と同様に補正レンズで矯正することが可能ですが、角膜の病気などが原因で起こった乱視は矯正することが困難です。
眼位検査
両眼の向いている方向を眼位と言います。 両眼の視線が1つの目標に向かわないと、複視(物が2つに見える)、眼精疲労などの症状が出てきます。両眼視機能の検査にはヘス、シノプトスコープ、ワックET等を使用します。
眼位の異常
斜視
両眼の視線が正しく目標に向かない状態を言います。
これは眼位の異常に両眼視の異常が加わることで引き起こされます。
遠視が原因である調節性内斜視は、メガネ、コンタクトレンズで屈折矯正され、それ以外の斜視の眼位矯正はすべて手術によって行なわれます。
内斜視 | |
外斜視 | |
上下斜視 |
斜位
斜視に比べ、眼位の異常はあるが両眼視の異常はない状態のことを言います。症状がなければ放置してさしつかえないですが、程度が強く、症状があるときにはプリズム眼鏡を使って矯正した方ががよいでしょう。
調節検査(老視)
人の眼は近くを見る際に毛様体筋の働きで水晶体が厚くなることにより、ピントを合わせます。この働きを調節、その力を調節力と言います。調節力を測定するのですが、調節力は年齢と共に衰えるので、遠くは見えるが手元は見づらい、疲れるといった症状は老視の可能性があります。
調節力について
- 水晶体の働き・・・
- 角膜と水晶体を通って屈折した光が網膜に焦点を結んだとき、人は物をきれいに見ることができます。
遠くを見るときには水晶体が薄くなり、近くを見るときには水晶体が厚くなります。この厚みの調節を行っているのが、水晶体のまわりにある毛様体筋です。
- 調整力が衰えると・・・
- 若い頃は十分に弾力性のあった水晶体は加齢とともに硬くなり、またそれを支える毛様体筋も衰えてきます。すると、近くにピントを合わせるために水晶体を厚くしようとしても一定以上厚くならない、つまり「近くを見るときにピントが合わない状態」になります。それが「老視」のメカニズムです。近視の人にも、遠視の人にも、すべての人におこります。最近ではパソコン作業や携帯の普及により生活習慣が変わり、眼を酷使することが多くなったため、20〜30代の若い方にも似たような症状が出ることがあります。長時間眼を酷使することを避け、定期的に眼の体操を行い凝りをほぐしましょう。
- 老視の矯正・・・
- 老視の矯正は、近くを見るために必要な調節力を補うレンズを装用します。老眼鏡や遠近両用メガネを使用せずに無理をしていると、それだけ目に負担をかけることになります。 遠視や近視の人の場合は、本来のメガネと老眼鏡の両方が必要となります。これをひとつのメガネで対応する場合には、 累進多焦点レンズ等の遠近両用レンズを使用します。このレンズは、1枚のレンズ内で遠方と近方の両方を矯正できるように設計されているので、歪みがあり、視野も狭いためご使用の際には慣れが必要となってきます。 自分の目に合ったいいレンズを選び、上手に老視とつきあっていきたいものです。
眼鏡度数の決定
使用目的に合わせて度を決定していきます。年齢を重ねてくると、遠くを見る度と、近くを見る度が必要になる為、用途に応じた眼鏡の選択が必要になります。
単焦点
遠くのみ、近くのみの度が入ります。近くの度数を入れると、読書や手元の作業が楽にこなせます。
遠近両用
手元のみ見える老眼鏡の掛け外しが不便であれば、1本の眼鏡で遠くも近くも見える遠近両用眼鏡があります。外出先から室内までメガネをつけたままお過ごし頂けます。レンズの構造から境目のない累進レンズと境目のある二重焦点レンズに分かれます。境目のないタイプは遠用部から近用部に徐々に度数が変わっていく構造で、二重焦点とは違い中間距離も見えるので機能的と言えますが、レンズの両脇が歪んでいる為中間や手元の視野は狭く、違和感がある場合もあります。
中近両用
中近両用は遠近両用よりも中間や手元の視野が広く室内専用です。遠くは見えなくても困らない、遠近両用では視野の狭さや歪みが気になるという方にはお勧めです。 オフィスワークや家事など室内の作業が快適になります。
近々両用
近々両用は手元から少し離れた距離までが見えるようになっています。
読む、書く、パソコン作業など、デスクワークを快適にこなせます。
以上のように用途によって様々な眼鏡の選択肢があるので検眼の際によく相談して眼鏡の度数を決定していきます。